研究室公開

OPEN LABORATORY

未来を切り拓く最先端のエレクトロニクス
電子工学コース

07

生体情報を測るナノ・バイオデバイス

革新的な創薬技術の構築を目指して

平野研究室

EXHIBIT

オープンキャンパスでの展示

人工細胞膜を使った副作用評価チップの開発

私たちの体は外部からの刺激にとても敏感です。 体は、沢山の細胞が集まって形成されていますが、その細胞を包んでいる細胞膜が、化学物質や光、 力といった刺激に高感度な感受性をもっているからです。 この細胞膜は厚さ4-5 nmの超薄膜で、膜の中には、 刺激を認識するための特別なタンパク質(膜タンパク質)がつまっています。本研究室では、このナノメートルサイズの細胞膜を人工的に作成し、電子デバイスと結合させることによる新しいバイオデバイスの開発を目指しています。

生きた細胞を使って神経回路をつくる

パソコンや携帯電話などに用いられている集積回路の主要素子であるトランジスタは、微細化するほどその性能が向上します。そのためエレクトロニクス分野においては過去50年に渡って、半導体材料をマイクロ、さらにはナノメートルスケールで加工するための技術が精力的に開発されてきました。一方、化学の分野では分子の自己組織化現象を応用してナノスケールの構造体を作製する方法が研究されました。私たちはこのようなナノ加工技術を使って複雑な脳神経回路のモデルとなる神経回路を培養皿の中に再構成することを目指しています。

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体の中の細胞膜に倣った人工細胞膜デバイス

バイオ素子の持つ優れた物質認識能/情報変換能をナノテクノロジーと融合することにより、新しい医用デバイスを生み出すことができます。例えば、人工的に細胞膜構造を構築し、その中にイオンチャネルタンパク質を埋め込むことにより、極限まで規定された環境下でイオンチャネルの機能を調べたり、新薬候補化合物などの高感度な迅速検出法の開発が可能になります。 
 

人工細胞膜を使った液中動作デバイスの創成

細胞の周りを包んでいる細胞膜は、極めて絶縁性が高くまた流動性も高いという面白い性質を持っています.また脂質分子の自己集合により簡単にチップ上に再構成することができます。
私たちは細胞膜のこの様な特徴に着目し、人工細胞膜の中にイオンや電子の通り道(ナノチャネル)を創成しています。イオンチャネルや金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子等を埋め込むことで、人工細胞膜中にイオンや電子が縦横方向に通過できるナノチャネルを形成し、水溶液中で動作する高感度な化学・物理センサを構築します。

神経細胞ネットワークの再構成と機能計測

微細な半導体デバイスを作るために開発された技術を応用すると脳の機能素子である神経細胞(ニューロン)がガラスチップ上に接着する位置や神経突起を伸ばす方向を厳密に制御することができます。さらにレーザーを使った加工技術を組み合わせると細胞を育てながらその間を配線することができます。
私たちはこのような基板加工技術を集結して生きた神経細胞を原理的素子として脳のモデルを作り上げようとしています。作り上げた神経細胞ネットワークの機能を計測するための最先端の実験装置も揃っています。また神経回路の動作原理を理論シミュレーションで調べる研究も行っています。