研究室公開

OPEN LABORATORY

未来を切り拓く最先端のエレクトロニクス
電子工学コース

03

表面の原子の振る舞いを利用する

新しい室温接合技術とデバイス形成

島津研究室

EXHIBIT

オープンキャンパスでの展示

新しい室温接合技術(原子拡散接合法)

不純物の少ない真空の環境では,温度を上げなくても,接触した二つの物質の表面(接触界面)で原子配列を並び替えることができます.また,原子を降り積もらせると,特殊な原子の配列ができることがあります.本研究室では,そのような特徴を活かして,異なる物質を室温で接合する新しい接合技術(原子拡散接合法)に関する研究と,スピンの動きを拘束する磁気エネルギーが大きな薄膜の形成に関する研究をしています.

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新しい室温接合技術(原子拡散接合法)

原子拡散接合法は,半導体やセラミクスのウエハーだけでなく,金属やセラミクスのブロック(基体),ポリマー等,異種材料や同種材料を室温で接合できる無機接合技術です.これは,鏡面研磨したウエハーや基体の接合面に,ナノメーターの薄い金属薄膜をスパッタ法で形成し,金属膜表面を相互に接触させることで生じる原子再配列現象を利用して,真空中あるいは大気中で接合する技術です.
<透明接合・絶縁性接合> 数オングストロームの金属薄膜を用いた真空中接合では,透明で電導性の無い接合界面が得られるため,新機能デバイスや光学部品の形成に利用され始めています.
<高熱伝導性・耐熱性接合> 接合界面に優れた熱伝導性・耐熱性を持たせたり,金属とセラミクス等を無機接合したりすることで,新しいデバイスや素子を形成することができます.大気中の接合も可能です.

マイクロ波アシスト・スイッチング機構

スピントロニクスを活かしたメモリやストレージデバイスでは,記録容量を増大させるために素子を微細化すると,熱エネルギーによりスピンの動きが擾乱するようになります.これを防ぐためにスピンの動きを拘束する磁気エネルギーが大きな材料薄膜を用いると,今度は,スピンを動かして信号を記録できなくなってしまいます.
 これを克服する手法の一つとして,マイクロ波アシスト・スイッチング(MAMR)の研究を,多元物質科学研究所の研究グループと共同で実施しています.MAMRはスピントロニクスのデバイス応用にとって重要な基盤技術です.