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04

強磁場超伝導材料研究センター

強磁場超伝導材料研究センター

淡路研究室

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超伝導現象を利用した強磁場超伝導マグネットの開発

 極低温に冷やせば電気抵抗がゼロになる「超伝導」という現象があります。電気抵抗がなくなると大電流を流してもエネルギーが熱として逃げていかないため、超伝導体を導線として用いれば非常に効率的に送電が行え、大電流を流せる超伝導線材でコイルを作ることで強力な電磁石が作製可能です。これが強磁場超伝導マグネットです。
 我々の研究室(強磁場超伝導材料研究センター)では、冷凍機伝導冷却法という手法で超伝導状態を作り出し、強磁場を発生させる伝導冷却型強磁場超伝導マグネットを世界に先駆けて開発しました。現在では24.6 T(地磁気の約5万倍!!)もの磁場を作り出すことができ、伝導冷却型超伝導マグネットとしては世界最高記録となっています。更なる強磁場の安定発生に向けて、日々開発・研究を行なっています。

強磁場下における超伝導特性の評価

 超伝導線材を使って30 T級の強磁場マグネットを作る場合、超伝導体は(~10 K以下の低温)x(~30 Tの強磁場)x(~500 MPaもの大きな応力)という、極限的な環境に晒された状態で大電流を流すことになります。このような極限環境においても超伝導状態を保持し、安全に通電できることが必要不可欠です。
 世界中の研究機関・民間企業にて、超伝導線材の特性を向上させる工夫が日進月歩で研究・開発されており、「どのような工夫を行えば超伝導特性(温度・磁場・角度・応力/ひずみ依存性)がどう変化するのかを解明する」ことも我々の研究室の取り組みの1つです。
 対象となるのは、Nb3SnやNbTiなどの低温超伝導線材Bi系・希土類系銅酸化物超伝導線材鉄系超伝導線材など多岐に亘り、超伝導特性の更なる向上のための指針を探っています。

強磁場を利用した物質合成・物性評価

 磁場は温度に次いで容易に制御でき、磁場をかけることで様々な物質の性質が変化することから、多くの分野で強磁場を利用した研究が行われています。強磁場超伝導材料研究センターは全国共同利用施設の1つであり、強磁場センターで開発した無冷媒強磁場超伝導マグネットを含む各種マグネットは世界中の研究者が利用可能です。
 これまでに、(1)超伝導体・磁性体・マルチフェロイック物質といった様々な物質の磁場による特性の変化を調べる研究や、(2)磁場下で物質合成することで結晶配向・構造を変化させる研究、また、(3)磁場で物質を浮かせた状態での特性評価・相変化の研究などに用いられており、物理・化学・生命科学に関する重要な研究基盤として貢献しています。