研究室公開

OPEN LABORATORY

物理が開く新しい世界
応用物理学コース

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電気と光で動くスピンデバイスの開発

省エネ・高効率のスピンデバイスの実現へ向けて

水上研究室

EXHIBIT

オープンキャンパスでの展示

電気と光で動くスピンデバイスの開発

昨今、人の扱うデジタルデータの量は爆発的な増大を見せており、それらを高速かつ低エネルギーで処理できる技術の開発は必要不可欠です。当研究室では、電気や光で動くスピンを使った革新的なメモリーやデバイス、その材料の研究を行っています。

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電気で動くスピンデバイス材料の開発

 磁気トンネル接合の特性(トンネル磁気抵抗効果)を飛躍的に高めるための様々な素子材料の研究開発を行っています。
 磁気トンネル接合とは、磁石の性質を有する導体薄膜で絶縁体薄膜を挟み込んだ積層型の素子です。各層は数ナノメートル程度の厚みです。絶縁体の上下の導体に電圧を加えると量子力学的トンネル効果により電流が流れます。上下の二つの磁石の磁化(磁極の向き)が平行な場合と反平行な場合で素子の電気抵抗が変化するトンネル磁気抵抗効果(TMR効果)を発現するため、TMR素子とも呼ばれます。この素子は、磁気センサーやハードディスクの磁気ヘッドに用いられてきました。最近では、TMR素子を用いた磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)の開発が世界各国のメモリ企業で進んでいます。また、TMR素子を用いた様々な人工知能ハードウエアの基礎研究も世界的に進められています。TMR効果はこれら様々な応用製品の性能を左右する最も基本的な特性です。
 当研究室では、オリジナルの材料を追求し、また他のグループと共同で計算科学や情報科学、機械学習も取り入れたユニークな研究開発を進めています。
 
 
 

光で動くスピンデバイスの物理と材料ならびに評価技術の研究

 レーザー光によってナノ磁性体中の磁気(スピン)の状態や運動を制御する研究を行っています。またその高効率化のための基礎物理や材料の研究を行っています。
 磁性体には磁気(スピン)の織りなす様々な波動が存在することが古くから知られています。スピンの波動やスピンの状態を情報の記憶、処理、伝達のキャリアとして用いた非フォンノイマン型計算機の研究が世界的に進められています。スピンの運動に要するエネルギ―は非常に小さいため、高エネルギー効率の新しい計算機ができる可能性があるためです。
 当研究室では、レーザー光を用いたオリジナルのスピン測定技術を構築し、ポンププローブ顕微鏡やテラヘルツ波放射なども用いたオンリーワンの研究を進めています。