研究室公開

OPEN LABORATORY

先進マルチメディア情報知能システム
情報工学コース

05

未来の情報通信技術

地上-空-宇宙ネットワークが切り開く次世代の情報社会

加藤(寧)・川本研究室

EXHIBIT

オープンキャンパスでの展示

無人機が創り出す未来の通信

あらゆる機器がネットワークにつながるIoT時代が到来したことをきっかけに、様々なサービスの可能性を切り拓くことが期待されるドローン。そのドローンには、映像伝送におけるリアルタイム性の向上を可能とするための先端情報技術が求められています。私たちの研究室では、ドローンによる最新リアルタイム映像伝送システムの実現を目指して研究しています。

電波伝搬をプログラムする知的反射板

私たちは、表面の反射特性を自在に変更することで電波伝搬をまるでプログラムするかのようにデザインする知的反射板(IRS: Intelligent Reflecting Surface)に関する研究を実施しています。今回は株式会社パナソニックシステムネットワークス開発研究所と共同で開発した、世界初となる60GHz帯IRSデバイスの展示を行います.

スマホアプリが研究室をナビゲート

SmartCampusへ

研究スローガン

私達の身の回りは様々な通信機器とそれらをつなぐ情報通信ネットワークで溢れています。スマートフォンや携帯電話、タブレット端末、ウェアラブルコンピュータのほか、ゲーム機、電子レンジ、冷蔵庫といった家電製品、さらにはカーナビゲーション、無人航空機、環境観測器など、ありと あらゆるものに通信機能が搭載される時代となりました。これにともない、それらをつなぐネットワークも多様化が進んでいます。光ファイバネッ トワーク、無線アクセスネットワーク、携帯電話ネットワーク、衛星ネットワーク、車車間通信ネットワークなどに加え、アドホックネットワー ク、センサネットワークなど様々な通信ネットワークが構築されています。では、私達はこれらの情報通信ネットワークの能力を最大限利用できて いるのでしょうか?また、これらの情報通信ネットワークの能力そのものをさらに向上させることはできないのでしょうか?本研究室では次の時代 の情報通信ネットワークの姿を追い求め、理論を背景としたネットワークデザインとプロトコルデザインを軸として、最適な情報通信ネットワーク の実現に向けた研究開発の推進とプロフェッショナルの育成に力を注いでいます。研究分野の重要なキーワードには次のようなものがあります。
 1) 衛星・無人航空機ネットワーク
 2) 光と無線の融合ネットワーク
 3) モバイル・アドホック・センサネットワーク
 4) IoT、ビッグデータ、M2M、ITS
   5) IRSを用いた無線ネットワーク

衛星ネットワーク

近年、IoTの台頭によって衛星ネットワークの利用用途は更に拡大することが見込まれています。それに伴い、今後は衛星ネットワークに対してこれまで以上に高速かつ大容量な通信が求められるようになります。そのため、次世代の衛星通信システムには、限られた通信資源を有効に活用するために、通信環境の変動に合わせて通信容量や利用地域を変更できる柔軟性が必要不可欠となります。本研究室では、通信環境が変動する中でも高い通信性能を維持する衛星通信システムの実現を目指しており、周波数共用をはじめ、省電力、時間配分など様々な角度から通信資源の割当を効率化するための研究を進めています。研究課題例は以下の通りです。
 1)通信環境変動に合わせた周波数チャネル割当て方式に関する研究
 2)通信要求の地理偏差に順応するための電力リソース割当て方式に関する研究
 3)通信要求の時間変化に追従するためのタイムスロット割当て方式に関する研究
 

Intelligent Reflecting Surfaceを利用した通信ネットワークシステム

アンテナ、アクセス方式などの送受信技術の発展によって、無線通信技術の性能は飛躍的に向上してきました。例えば、移動通信システム(携帯電話通信)は数~10年毎に進化しており、2020年に日本で運用が開始された第5世代移動通信システム(5G)の通信性能は2015年運用開始の4Gの数十倍になると予想されています。しかし、このような無線通信の成長は徐々に限界を迎えつつあるともいわれています。その成長のボトルネックの一つが、基地局と通信端末の間に障害物があると通信が不安定になるという物理的制約です。送受信技術が高度化したとしても、電波が遮られれば通信できなくなってしまいます。このようなボトルネックを解消し,無線通信技術にパラダイムシフトをもたらすためには,新たな通信ネットワークの体系を構築する必要があります.そこで、本研究室では5Gの先、6G時代における新たなネットワークの体系として、Intelligent Reflecting Surface(IRS)を用いたネットワークの可能性を探求しています。IRSは多数の受動反射素子で構成される電磁波反射体です。反射素子は動的に特性変化可能なメタマテリアルで構成されており、各素子の反射特性を適切に変更して理想的な電波伝搬経路を設計することで障害物を迂回した電波伝搬ルートを確保し、障害物の影響を受けない通信を実現することが可能です。本研究グループでは、IRS融合型通信システムの実現に向け、基礎理論の構築および新たな通信制御アルゴリズムの研究を行っています。また、理論検討結果の検証などに向けて、実機開発および実証実験にも取り組んでいます。
研究課題例は以下の通りです。
1)チャネル推定・送信プリコーディングの効率化
2)IRSの面的配置位置最適化
3)IRS通信システムにおける新たなリソース割り当て方式の開発
4)IRS通信システムの制御プロトコルの開発
5)IRSを用いた上空ネットワークの構築