研究室公開
OPEN LABORATORY
先進マルチメディア情報知能システム
情報工学コース
05
データを「賢く」学ぶ機械をつくる
鈴木(潤)研究室 |
EXHIBIT
オープンキャンパスでの展示
人工知能技術×社会の今を支え、未来をつくる基盤研究
近年は実社会における実用技術として大衆化した人工知能技術。世界を便利に変えていく一方で、深層学習が有益な知識をデータから獲得し活用する一連の計算の意味を人間が解釈・説明することの困難性や、扱うデータの偏りから生じる公平性に関する課題など、日々新たな研究課題も生じています。人工知能技術にまつわる新旧様々な課題に対して理論的かつ経験的に検証と分析を重ね、諸課題の原理や本質を明らかすることが私たちの挑戦です。オープンキャンパスでは私たちの挑戦の最先端、人工知能技術を支える基盤研究を展示します。
私たちの研究
LABORATORY
人間の知的活動を支える汎用言語モデル
人工知能がデータから自動的に学習するための基盤技術に関する研究をしています。私たち人間が日常的に使用する「言葉」や「知識」もまさにデータですが、これらは人工知能にとって扱うのが最も難しい対象として知られています。人間と円滑にコミュニケーションを取りながら、人間が言葉や知識を介しておこなう知的活動を効率的に支援する人工知能の実現に向けて、言語を入出力とする様々な処知的処理、たとえば対話や翻訳などを人間のエキスパートと同等レベルで達成できる人工知能を実現する研究に取り組んでいます。
言語と画像の融合で実世界を捉える
世界には膨大な量の知識が存在しています。そして、私たち人間の社会はこれらの知識の上に成り立っています。「猫」とはどのようなものなのか、「キラキラする」とはどのような状態なのか。言語を介したコミュニケーションを成立させるためには、話者間でその言葉が指す概念を共有していることが必要不可欠です。人工知能が知識を効果的に学習することを可能にするひとつの方向性として、言語情報と視覚情報、すなわち言葉と画像の融合に着目し、言語と画像双方の情報を複合的に処理し知識として利活用するための方法論の開発や効率化に取り組んでいます。
人工知能技術の透明化・効率化
言語処理技術や画像処理技術の近年の主流は、深層学習に基づく強力な生成モデルを数千億という大量のデータで学習するという方法になります。この方法論は性能面では非常に優れていて、まるで人間が書いたような流暢な文章や、まるで実物のようなリアルな画像を生成できるようになりました。一方で、その生成過程は未だ「ブラックボックス」に近い状態です。想定外の出力が得られた場合に「なぜ」そうなったのかがわからない、そのような技術を信頼して活用することは難しいでしょう。また、強力な生成モデルを利用するには一般に特別高性能で高価な計算機が必要です。優れた人工知能技術をより多くの人が安心して活用できるよう、モデルの内部挙動の解明や計算コストの削減にも取り組んでいます。