研究室公開

OPEN LABORATORY

未来を切り拓く最先端のエレクトロニクス
電子工学コース

07

光と顕微鏡で探るナノ空間の物理と化学

小さすぎる原子と分子の世界をのぞいてみよう

上原・片野研究室

EXHIBIT

オープンキャンパスでの展示

原子・分子が活躍する光とナノ構造の世界

本研究室では、走査トンネル顕微鏡(STM)とよばれる非常に高精度な顕微鏡を用いてナノメートル領域における光電子物性を明らかにする研究を行っています。とりわけ、光と電子の作用場としてのナノ構造に着目し、STMを用いた局所発光分光と、分子蒸着やレーザーアブレーションなどのナノ構造作製手法を組み合わせ、単一分子やナノ構造の有する極限電子物性の解明に日夜取り組んでいます。ここでは原子や分子を見ることができる顕微鏡の原理とナノスケール光計測の紹介を行いますので、ぜひお気軽にお立ち寄り下さい。

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走査トンネル顕微鏡発光分光を用いたナノ物性解明

ひとつひとつの原子や分子を能動素子として利用することができるようになれば、情報処理デバイスの集積度は飛躍的に向上すると期待されます。そのためには、個々の原子や分子の持つ特性が十分に探索・解明されることが必要です。

本研究室では、一つの原子を見ることができる究極の空間分解能を有する走査トンネル顕微鏡(scanning tunneling microscope; STM)を用いて、単一分子やナノ構造が有する新奇な光・電子物性の探索を行っています。

STMの鋭く尖った金属探針先端から放出されるトンネル電子ビームにより、探針直下にある個々の原子や分子からの発光を選択的に誘起することができます(STM発光)。

我々のグループでは、このSTM発光を分光することにより個々の原子・分子が有するナノ光物性の探索を行い、デバイス応用を図ることを目的とした研究を行っています。

ピコ秒の時間分解能と原子位置分解能を有する分光法の開発

よく収束された電子トンネリングで励起されるSTM発光は高い位置分解能を有しますが、時間分解能は貧弱であり、高速な光電子応答を直接観察することが難しいとされています。一方、ポンプ・プローブ分光法に代表されるレーザー分光法は、高い時間分解能を有しますが、位置分解能は光の回折限界で制限されてしまいます。我々のグループでは、両者の特長を組み合わせるための研究開発をここ数年行ってきました。

その結果、STM発光スペクトルをピコ秒の時間分解能で計測することに成功しました。ナローバンドギャップ半導体であるSb2Te3のSTM発光計測において外部からレーザー光を照射すると、レーザー光と同期したSTM発光が誘起されることを見出し、高速な発光現象を高い位置分解能で明らかにすることに成功しました。

単一分子やナノ構造体の同定と分子エレクトロニクス

振動分光法は固体物性評価に極めて有用ですがその空間分解能は光の回折限界で制限され、ナノスケールの構造解析に適用できる方法がほとんど存在しないのが現状です。近年、我々のグループでは、振動励起に伴う微細構造がSTM発光スペクトルに重畳されることを見出し、探針直下に存在するナノ構造体の振動分光がSTM発光を利用して可能になることを提案しました。

このようなSTM発光振動分光法を通して、単一分子内の官能基検出および吸着構造を高い空間分解能で明らかにすることできると期待されます。

現在、このような単一分子検出技術とSTMの有する分子マニピュレーション技術を融合して、単一分子を能動的なエレクトロニクス素子として利用する分子デバイスの研究開発に取り組んでいます。