研究室公開

OPEN LABORATORY

コミュニケーションの未来
電気通信研究所

07

計算機による物質設計

まだ存在しない新たな物質の探索

白井・阿部(和)研究室

EXHIBIT

オープンキャンパスでの展示

第一原理計算と物質設計

第一原理計算とは、実験からの情報を利用せずに、多電子系の状態を求める手法です。経験則に頼らず計算を実行することにより、いま存在しない物質でも、その性質を予測することが可能となります。本研究室では、この第一原理計算を用いて、新物質の設計と探索を行っています。主な研究対象としては、スピントロニクス材料が挙げられます。スピントロニクスとは、電子の電荷とスピン(磁性)の絡んだ現象を利用したエレクトロニクスであり、将来的な記憶素子等への応用が期待されている分野です。

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磁気抵抗素子

不揮発性磁気メモリに用いられるトンネル磁気抵抗素子の性能向上のために、磁性層およびバリア層材料の設計を行っている。また、超低消費電力な室温動作スピントロニクスデバイスの実現においてキーテクノロジーと位置づけられる金属磁性の電界制御に関して、巨大な効果が得られる新規材料の探索並びに磁性が電界制御される起源の解明を進めている。

永久磁石材料

希土類金属を用いることのない高性能永久磁石材料の開発が求められている。高磁化、高磁気異方性を有する新規規則合金の設計および、既知のFe-Ni, Mn-Ga系の合金への第3元素添加による磁性への影響の調査を行っている。
  FeNi規則合金への軽元素添加の例では、B, C, Nを2.6%程度格子間サイトに添加することで大幅な垂直磁気異方性エネルギーの増大が見込まれることを示した。

強磁性形状記憶合金

強磁性形状記憶合金は、磁場駆動アクチュエータや大きな磁気熱量効果を利用した磁気冷凍材料への応用が期待されている。Ni基, Mn基, Co基と多数のホイスラー合金にてメタ磁性転移とマルテンサイト変態の同時誘起が観測されているが、その微視的な起源の解明には未だ十分至っていない。新規の材料の探索並びに物理的起因の解明を実験グループと協力しながら進めている。