研究室公開
OPEN LABORATORY
コミュニケーションの未来
電気通信研究所
07
針で読み書き!ナノ世界のプラスとマイナス
(白井)・山末・平永研究室 |
EXHIBIT
オープンキャンパスでの展示
ナノの世界を観る、測る、創る、操る!
次世代超高密度強誘電体記録デバイスの開発
コンピュータやスマートフォンなどで私たちが普段見ている大量の電子情報は、記録デバイスとよばれる装置に格納されています。その記録デバイスの代表的なものがハードディスクドライブですが、これには磁気記録と呼ばれる方式が用いられています。 電子情報(ディジタル情報)は通常、ビットと呼ばれる‘1’または‘0’の組み合わせで表現されますが、磁気記録方式では、この‘1’と‘0’のビットを磁性体(磁石)のS極とN極に対応させて記録しています。一方、私たちの研究室では、磁性体の代わりに強誘電体と呼ばれる物質を用いて次世代の記録技術である強誘電体プローブストレージを開発する研究を行っています。強誘電体は、いわゆる永久磁石と似ていますが、磁石のN極とS極の代わりにプラス極とマイナス極を持つような特殊な物質です。強誘電体のプラス極とマイナス極(自発分極といいます)の向きは、細い針(探針)を使って外部から電気を加えることで自由にコントロールすることが出来るので、‘上向き’と‘下向き’を‘1’と‘0’のビットに対応させることで、磁気記録と同様にディジタル情報を記録することができます。強誘電体プローブデータストレージを用いれば、現行の記録技術をはるかに超える記録密度で大量のデータを記録することが可能になると期待できます。
SNDMを用いた電子デバイス評価
半導体で電子の流れを制御する部品は一般的に半導体デバイスとか電子部品などと呼ばれます。最も有名なものはダイオードとトランジスタです。半導体デバイスを実現する上で非常に重要なのがn型半導体とp型半導体です。n型半導体とは電子(マイナスの電荷)が豊富で電気伝導が電子に支配されている半導体で、p型半導体はホール(プラスの電荷)が豊富で電気伝導がホールに支配されている半導体です。半導体デバイスが正しく動作するためにはn型半導体とp型半導体が適切に配置されている必要があります。私達が研究しているSNDMを使うと半導体デバイス内のn型半導体とp型半導体の分布を詳細に分析することが可能です。「測るだけってなんか地味だな」と思う人も居るかもしれませんが、半導体デバイス内のn型・p型の分布を測る技術はデバイス開発において非常に重要な要素です。デバイス開発においては常に「正しく作られているのか」とか、「正常に動作しない原因は何か」といった問題がついて回ります。このような疑問を解決するには直接構造を測ってしまうのが近道です。特に、最新のCPUやメモリに代表される大規模集積回路(LSI)の内部の構造は非常に微細で、トランジスタ1つの寸法は14nmです。ここまで小さくなると測定は非常に難しくなります。SNDMはこのような微細なデバイスの構造を分析できるポテンシャルをもっています。