卒業後20数年。その間、住宅や保育園等の設計に携わってきました。そして二年前より、自身が手掛けたこども園で働いています。主に施設管理や運営、経営に携わっていますが、今社会から建築設計者が求められる様々な能力は、建築業界に限らず多方面で活かせることを改めて実感します。これは本学科での幅広い学びや、建築を通じて社会や地域のために何ができるかについて模索することで得られた経験によるものだと感じています。
毎日現場にいると、子どもたちの豊かな心と体の土台を育むことに、空間や環境がいかに寄与しているかを肌で感じます。今後も、未来を担う子どもたちが明るくしなやかに生きられる社会をつくることに貢献していきたいと思っています。[2023年度]
卒業生からのメッセージ
君は未来を変えられるか
「未来への挑戦」とは、工学部・工学研究科がキャッチフレーズとして使っている言葉です。このサブタイトルがつけられた「工学部学部案内『未来への挑戦』」では、毎年、卒業生から高校生・受験生に向けた『卒業生からのメッセージ』を掲載しています。
社会で活躍している先輩たちが東北大学工学部でどのような体験をし、どのような魅力を東北大学工学部に感じたのか、等々をご紹介します。
※[2023年度]は「2023年度入学者用」の略。
こどもの未来をつくる
一級建築士事務所アーバンスケープ代表 谷口 みのりさん
持続可能な循環型社会の形成への貢献
国立研究開発法人 国立環境研究所 資源循環領域 小林 拓朗さん
私は博士後期の課程を修了後、環境分野の研究者を志し、国立環境研究所に入所しました。入所以来一貫して、循環型社会の形成に資する廃棄物・バイオマス資源のリサイクル・適正処理技術に関する研究業務に従事しています。循環型社会は、人間活動に伴う資源の生産、消費、廃棄が及ぼす環境負荷が出来る限り低減される社会を指します。本学科が扱う環境と社会システムを俯瞰的に捉える学問分野は、持続可能な循環型社会の形成に向けた課題解決に大きく貢献できると思います。[2022年度]
ものづくりを楽しむ気持ちが原点
公益財団法人 鉄道総合技術研究所 構造物技術研究部 笠原 康平さん
卒業後、鉄道の未来を支える仕事にかかわりたいという思いから、鉄道総合技術研究所に入社しました。現在は、橋梁や盛土の技術開発、大地震に備えるための耐震設計、自然災害で被災した鉄道構造物の復旧支援などの仕事をしています。
本学科では、構造物を設計・製図するなどの実技を学ぶことができるため、自分で考えたものを形にすることの面白さや充実感を味わうことができます。大学時代に本学科で学んだことは、研究者として未来の技術を考える上での礎になっていると感じます。
ものづくりが好きな方や、皆さんの生活環境がどのような技術に支えられているか興味がある方には、ぜひおすすめしたい学科です。[2021年度]
多様性と環境変化に対応できる力を磨く
株式会社NTTデータ 社会基盤ソリューション事業部 福岡 巧巳さん
卒業後、幅広い社会分野へ貢献することを目指し、情報処理サービス業界へ進みました。入社後2年間は、公共システムの運用保守に携わり、その後はGIS技術を利用したデジタル地図コンテンツの新規開発と製造管理に従事しています。当業界では、多様なニーズへの解決策の提案と具現化をするために、問題分析力・提案力・管理能力が求められます。さらにAI技術導入など急速な環境変化に対する適応能力の必要性が高まりつつあります。建築学・土木学を学ぶことで、マクロからミクロまで様々な尺度での考察力が磨かれ、幅広い分野への適応に繋がります。[2020年度]
多様な業務に対応するスキルの醸成
JFEエンジニアリング 調達本部 蝦名 滋さん
卒業後、建築エンジニアの道へ進みました。入社後15年間は主に環境プラントの建築設計・プロジェクト管理に携わり、調達本部へ異動後は契約業務を実施、現在は社内調達システムの開発と運用管理をしています。建築設計は様々な制約の下で与えられた条件を具現化するという、それ自体が多面的な思考力・提案力・実行力が求められる分野です。先の見通せない時代においては専門知識+α(アルファ)が必要ですが、建築学を学ぶことで多様な業務に対応できるスキルを磨くことにも繋がります。[2019年度]
多くの人々の生活を支える分野
東海旅客鉄道株式会社 中央新幹線推進本部 山﨑 智哉さん
自分が携わった仕事が多くの人々の生活を支えることに強いやりがいを感じたため、本学科に入学しました。東北大学での学生生活は、部活動や研究に一生懸命取組み、一生涯の仲間に恵まれた貴重な期間でした。本学科では、各分野の第一線で活躍されている先生方のもとで、幅広い知識を学び、物事を多面的に考える力を養うことが出来ます。現在私は、中央新幹線の建設業務に携わっています。普段の仕事でも、学生時代に得た知識・経験が自分を支えてくれていると実感しています。[2018年度]
交通網整備で社会に貢献
独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 鉄道建設本部 九州新幹線建設局 千田 大さん
人々の生活の基盤となる構造物を整備・管理していくことが土木技術者の役割です。社会に貢献していることを目に見える形で実感することができ、非常にやりがいがあります。一方で、社会情勢の変化や独特かつ複雑な現場条件に適応していく柔軟性が求められています。
本学科では、コースの枠を越え、幅広い分野の専門的内容を学ぶことができ、物事に対して多角的にアプローチする力が養われます。普段の仕事でも、学生時代に身に付けた力が課題解決の糸口となる機会が多くあります。[2017年度]
建築としての空間
竹中工務店 東京本店 品質部 谷田部 浩さん
高さ1000mの建物で、オフィス・商業施設・住宅・学校などの街を創りましょう。
地震や台風は大丈夫?高所で生活するには・・・人や物の移動は?大量の上下水道はどうしよう?自然や緑は?
企業では、そんな問題を一つ一つ解決していきます。
コンサートホールで音が美しく響くのも、ホテルで隣の部屋の音が気にならないのも、実はそのように設計されているからです。手すりの高さや扉の大きさも人間工学を基準に考えられています。鉄鋼よりも強い100年耐久性のあるコンクリートや、地震時に建物の一部を自分から揺らして振動を押さえる建物もあります。鳥害を防ぐには、鳥の習性を知る必要があります。食品工場に虫が入ってこないようにするには、虫の研究が欠かせません。専門性を追求すると、どうしても細く深い知識が必要となります。
大学では、それやの基礎や調べ方を学びました。病院の壁の色と患者の気持ちの関係性は、まずは色の基本的知識から。幼稚園を建てる為に子供の気持ちと行動を理解するにはどういうデータが必要?そう言えば、建築の歴史を考えるには、まず人の歴史。そのために地方の祭りに参加した授業もありました。あれはいい思い出ですが、役に立ったかな?
大学生活の後全国に散らばった仲間は大切な財産となります。たまにその仲間から、無茶なお願いを頼まれたりして・・・。[2016年度、2015年度]